次世代シーケンス解析(MiSeq) アンプリコン解析のサンプル調製について
弊社ではアンプリコン調製に2段階PCRを用いております。
1stPCRでは、増幅対象遺伝子と相補鎖を形成する配列+MiSeqでの解析に必要な共通配列の一部を含んだプライマーを用います。 2ndPCRでは、MiSeqでの解析に必要な共通配列とサンプル識別を行う為のMID配列でデザインされたプライマーを用います。
2ndPCRでは、1stPCRで得られた増幅産物の両末端にある共通配列とプライマーが相補鎖を形成します。つまり2ndPCRは解析対象遺伝子の配列に依存しません。 解析対象遺伝子を変える場合でも、1stプライマーのF/R一組を新たにデザインするだけでよく、2ndPCR用プライマーは使い回しができます。
弊社では、16サンプルが識別できる2nd用プライマーを1セットとして、多数のお客様のサンプルを同時解析できるように複数のセットをを常時ストックしております。
弊社でのMiSeq利用をご検討しておられるお客様には無償で提供しております。 また、1stPCR用のプライマーセットについても、解析対象遺伝子と相補鎖を形成する配列をご連絡いただければ、無償で合成いたします。
プライマー名 | 配列 |
---|---|
1st_PCR_515F | ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT-GTGCCAGCMGCCGCGGTAA |
1st_PCR_806R | GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT-GGACTACHVGGGTWTCTAAT |
※「-」で区切られた前半部分が2nd PCR用のプライマーとの相同部分、後半が16SrRNAとの相同部分です。
各ステップの詳しい情報
- テンプレートDNAについて
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経験上1~5 ng程度のDNA量を推奨しております。また、DNA抽出については市販のDNA抽出キットをご利用していただければ問題ございません。参考として弊社の取り扱う製品をご案内させていただきます。
- PCRの条件について
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16SrRNAのアンプリコン解析ではバクテリアの16SrRNAをターゲットとしているので、1st PCRのサイクル数を上げすぎると非特異的な増幅(ネガティブコントロールでも増幅してしまう)が起こってしまう可能性がございます。 弊社では以下の条件でPCRを行なっております。1st PCRPCR酵素:ExTaq HS (TaKaRa)※弊社ではPCR酵素にExTaq HS (TaKaRa)を使用しておりますが、お客様が普段ご利用されているPCR酵素のご利用で問題ございません。反応条件:[94℃-2 min]×1→[94℃-30 sec,50℃-30 sec,72℃-30 sec]×20→[72℃-5 min]×1→[4℃-∞]↓ビーズ精製↓2nd PCR (tailed PCR)PCR酵素:ExTaq HS (TaKaRa)反応条件:[94℃-2 min]×1→[94℃-30 sec,60℃-30 sec,72℃-30 sec]×8→[72℃-5 min]×1→[4℃-∞]※1stPCR後に精製したサンプルの1/10程度を2ndPCRのテンプレートに使用↓ビーズ精製
- PCR産物の精製について
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上記でご説明しているとおり、2ndPCRに用いるプライマーはMiSeqでの解析(SBS法)に必要な配列を含んでおります。MiSeqでの解析時に2ndPCRに用いるプライマーが含まれていると、2ndPCR用プライマーが優先的に解析されてしまい、データの取得が困難となってしまう可能性がございます。PCR産物精製で最も重要なのはプライマーの除去です。弊社ではビーズ精製を行っています(cytiva Sera-Mag™ Select等を使用)。カラム精製でも問題ないと判断しておりますが、経験上ビーズ精製を推奨しております。
- 各PCR産物の等量混合について
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精製後、各サンプルを光度計等を用いて濃度測定します。※2本鎖のみを定量できるQubitを利用した方がより正確性は向上します。測定の結果一番濃度が薄いサンプルの濃度に他のサンプルの濃度を合わせて等量混合します。最終的に10-20 ng/μlの濃度で数十μl程度あれば問題ございません。これ以下の場合であっても送付いただいて問題ございません。※一番濃度が薄いサンプルの濃度が上記(10-20 ng/μl)をかなり下回る場合はご連絡願います。
送付いただきましたサンプルについて
お客様からお預かりいたしましたサンプルについては、全て bioanalyzer と Qubit での品質検定と濃度測定を
行います。測定の結果、プライマーの混入等の解析対象以外のピークが確認され、MiSeqでの解析に問題がある
と判断した場合、弊社で精製を行います(有償:5,000円)。
また、場合によっては解析を中止させていただく場合もございます。