遺伝子解析技術を利用した微生物種の同定検査

微生物検査は食品・製薬業界等では重要な検査項目です。また、不良品が発生した場合の微生物同定検査では 不良原因菌、衛生問題を起こした場合は病原菌の菌種を特定することで、汚染源の調査や危害に対して手段を講じることが出来ます。
細菌や真菌の分類・同定は、従来は顕微鏡下による形態観察や分離培養による方法などが行われています。 しかし、培養法での同定は経験によるところが大きいといわれています。 このような中、注目を集めているのが、遺伝子解析技術を利用した方法です。 高い識別能や再現性が期待できる解析結果を得られるという利点があります。
ファスマックでは遺伝子解析技術を利用した微生物種の同定検査サービスを開始致します。御社の品質管理に是非お役立て下さい。

検査対象の微生物

細菌または真菌(カビ、酵母)
【細菌】
細菌
【真菌(カビ、酵母)】
真菌

微生物同定の方法

細菌の16S rDNA遺伝子、あるいは真菌類のD2 rDNA上の遺伝子をシーケンス解析し、 Applied Biosystems社の「MicroSeq IDシステムデータベース」と照合することで、微生物同定を行います。

検査項目

(1)< 細菌500bp >

検査対象は細菌になります。16SrDNAの5’末端側の約500bpの塩基配列を決め、 データベースとの相同性の高い上位10種をご報告いたします。

(2)< 細菌全長(約1,500bp)>

検査対象は細菌になります。16S rDNAの全長 約1,500 bpの塩基配列を決めることで、 細菌500bpでは菌種の特定が難しい場合でも、より詳細な情報が得られます。 データベースとの相同性の高い上位10種をご報告いたします。

(3)< 真菌 >

検査対象は真菌になります。 真菌のrDNA D2領域 約300 bpの塩基配列を決め、データベースとの相同性の高い上位10種をご報告いたします。

(4)< 未指定 >

検体が、細菌か真菌かご不明な場合にご選択いただけます。細菌の検査と真菌の検査の両方を行い、データベースとの相同性の高い上位10種をご報告いたします。

ご依頼について

検査手順

検査手順

(1)検体送付

御社からサンプルを送付してもらう流れになります。
シャーレの裏側から試験を行うコロニーをマジック等でマークして下さい。
弊社は試料の単離サービスは行っておりません。純粋培養された菌株の生えたシャーレをお送り下さい。
シャーレのふたが開かないようにした後、厚手のビニール等に入れ、検査依頼書と共にダンボールに梱包し、下記住所へ郵送して下さい
郵送は冷蔵でお願い致します。
【送付先】
〒243-0041
神奈川県厚木市緑ヶ丘5-1-3
(株)ファスマック 遺伝子検査事業部 宛
TEL:046-295-8787
FAX:046-294-3738

(2)DNA抽出

(3)PCR

検体コロニーからDNAを抽出し、PCRを行います。増幅バンドを確認後、シーケンス作業へ進みます。

【注意事項】

ユニバーサルプライマーを用いておりますので、細菌や真菌の種類によっては、 増幅が困難な場合もございます。この場合、同定を行うことが困難となります。 また、上記理由により、当社にて作業が進行不可能と判断された場合は、 1検体あたり7,000円(税抜)をご請求させていただき、解析を終了とさせていただきますので、予めご了承ください。

(4)シーケンス

シーケンサーを用いて、塩基配列を決定します。

【注意事項】

明確な波形が得られない場合は検査不能と致します。上記理由により、当社にて作業が進行不可能と判断された場合は、 1検体あたり10,000円(税抜)をご請求させていただき、解析を終了とさせていただきますので、予めご了承ください。

(5)データベースとの照合

シーケンスデータとMicroSeq IDシステムデータベースを照合し、 相同性の高い上位10種を結果としてご報告致します。

報告例

Library Entry Name %Match
Staphylococcus saprophyticus saprophyticus (ATCC=15305) 99.66
Staphylococcus saprophyticus bovis (CCM=4410) 99.50
Staphylococcus xylosus (ATCC=29971) 99.43
Staphylococcus arlettae (ATCC=43957) 99.38
Staphylococcus cohnii urealyticum (ATCC=49330) 99.31
Staphylococcus haemolyticus (ATCC=29970) 99.20
Staphylococcus cohnii cohnii (ATCC=29974) 99.16
Staphylococcus gallinarum (ATCC=35539) 99.05
Staphylococcus equorum equorum (ATCC=43958) 99.04
Staphylococcus hominis hominis (ATCC=27844) 99.04

価格および納期

細菌500bp、真菌(かび、酵母): 12,000円(税別)
細菌全長(約1,500bp): 25,000円(税別)
未指定(細菌500pb・真菌のいずれかご報告): 18,000円(税別)
納期はどちらも4~7営業日となります。
その他オプション価格などについては下記フローチャートを参照ください。

受託できないケース

(1)
臨床検体より分離された微生物の同定
(2)
人への病原性を有する、もしくは病原性を有する可能性のある微生物の場合、お断りすることがあります。 この場合、サンプルは抽出済みDNAの状態でご依頼ください。

お問合せ先

検査に関するご質問やお問い合わせがございましたら、下記までご連絡下さい。
株式会社ファスマック 遺伝子検査事業部
電話: 046-295-8787
ファックス: 046-294-3738